順天堂大学(本部:東京都文京区/学長:代田浩之)と株式会社シーユーシー(本社:東京都港区/代表取締役:濵口慶太、以下「CUC」)は、2024年4月より共同研究講座「国際診療推進研究講座」(Research for promoting international healthcare)を順天堂大学に設置し、日本の医療ツーリズムにおけるニーズ分析やビジネスモデル開発の推進に取り組んでおります。
この度、2024年6月より人員体制と国際マーケティングの強化により、訪日外国人患者の受入れを本格化することを発表いたします。
世界的に医療ツーリズム市場が拡大するなかで、訪日外国人に対する日本の医療アクセスを向上させ、国内外の医療の進歩に貢献することを目指します。
概要
自国で受けることが難しい高度な医療(治療・検診・手術等)を受けることを目的に外国へ渡航する「医療ツーリズム ※1)」の市場規模は世界各国で拡大を続けています。
日本は『観光先進国』を政策のひとつに掲げ、2030年には6,000万人※2)の外国人旅行者の受け入れを目指していることから、伸び代となりうる医療ツーリズムの受け皿を担う医療機関の対応力強化は重要な鍵となります。
当共同研究講座では、国内最大規模の病床数を誇る大学病院として早くから医療ツーリズムに取り組み、外国人患者の豊富な受け入れ実績を持つ順天堂大学と、国内外の医療機関の経営支援を行うCUCがパートナーシップを組みました。国内外のマーケティング調査や訪日外国人患者の分析研究から医療ツーリズムのニーズを分析し、適切な料金体系への整備や待機時間解消等の課題解決に取り組み、さらには、新たな診療メニューや医療サービスの研究開発を行い、受け入れ体制の整備を進める計画です。本分野の研究により国内の医療ツーリズムの市場拡大、ひいては世界の医療のボーダーレスな発展に寄与してまいります。
ポイント
- 海外からの医療ツーリズムの受け皿となる日本の医療機関の体制整備が急務
- 医療とビジネスの連携で国内外のマーケティング調査と分析研究を推進
- 多様なニーズに対応し日本の医療ツーリズム市場拡大&世界の医療課題の解決に貢献
背景
世界の医療ツーリズム市場は拡大を続けており、2022年に973億米ドルに達しています。今後、2023年から2028年の間に23.6%の成長率(CAGR)を示し、2028年までに3,370億米ドルに達すると予測※3)されています。日本における市場も拡大を続けており、2020年時点で5,507億円の市場規模※4)と試算されています。アフターコロナを迎えた2023年より再び拡大期を迎えると予測されます。
一方で、日本の医療ツーリズムの学術的な調査・研究は途上です。日本の医療の価値を世界に発信し、より多くの受け入れを実現するため、共同研究講座を設置し、取り組んでおります。
内容
- 訪日外国人患者の集患マーケティング
国内外において訪日外国人患者のマーケティング活動に取り組み、集患効果やコスト分析を行うことで効果的な医療ツーリズムのマーケティング手法の確立を目指します。
- 訪日外国人患者の属性分析
訪日外国人患者の顕在的なニーズを明確化し、さらに潜在的ニーズを紐解くことで、より多くの訪日外国人患者から求められる診療メニューや受け入れ体制を確立します。
- 海外先進事例の調査・研究
積極的に医療ツーリズムの受け入れを行う海外の先進医療機関を調査し、日本の競合優位性を高めるために必要な要素の解明と、医療体制への実装を行います。
今後の展開
医療ツーリズムの分野において、日本は世界をリードできる高い医療技術とサービス品質を保有しています。
今回の共同研究講座をきっかけに、順天堂医院が培ってきた医療品質を、CUCのビジネスノウハウによってグローバルに展開し、日本の医療ツーリズムの更なる発展を目指してまいります。
順天堂医院 院長 桑鶴 良平よりご挨拶
「順天堂」の「順天」とは、”天道にしたがう”の意味で、中国の古書にはしばしば出ており、「易経」等で引用されています。”天道にしたがう”は、医者として、また人間として最も大事なことであります。今回の共同研究講座を通じて、日本在住の患者様のみならず世界中の患者様に医療安全と心の通った接遇による医療サービス、最新・最高の医療を提供できるように最善を尽くしてまいります。
CUC 代表取締役 濵口 慶太よりご挨拶
CUCは「医療という希望を創る。」をミッションに掲げ、日本と世界の医療課題に真摯に向き合い、変化に挑戦し続けてきました。共同研究講座では国内外で培ったリソースを最大限に活用し、世界のより多くの人々が日本の高度医療へアクセスできるよう、日本の医療ツーリズムの革新に取り組んでまいります。
※1 医療ツーリズムとは、最先端の医療技術や高い品質の医療を求め、医療を受けることを目的に他の国へ渡航することを指します。日本でもインバウンド推進施策の一つの観光政策・形態として掲げられ、2011年より医療滞在査証(医療滞在ビザ)が発行されるようになりました。医療滞在査証(医療滞在ビザ)の詳細は外務省HPを参照ください。https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/medical/patient.html
※2 観光庁 「明日の日本を支える観光ビジョン」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/810001132.pdf
※3 株式会社グローバルインフォメーション
※4 日本政策投資銀行 ”進む医療の国際化 ~医療ツーリズムの動向~”