株式会社シーユーシーと順天堂大学が共同開設した 「国際診療推進研究講座」が第二十二届北京国际医疗旅游展览会に出展

株式会社シーユーシー(本社:東京都港区、代表取締役:濵口慶太、以下「当社」)と順天堂大学(本部:東京都文京区/学長:代田浩之)が共同設置した「国際診療推進研究講座」 (Research for Promoting International Healthcare) は、2024年11月21日から同23日に開催された「第二十二届北京国旅游展会」(以下「本展示会」)に出展し、市場調査を実施しました。本活動は、展示会への出展を通し、日本の医療サービスが中国市場でどのような期待や課題に直面しているかを把握し、健康寿命延伸に貢献するための研究基盤を築くことを目的としています。

■ 全体概要

「第二十二届北京国旅游展会」(英語名:The 22nd Beijing International Medical Tourism Exhibition)は、アジア最大級の医療ツーリズム展示会であり、2024年11月21日から同23日に中国北京市内の中国国中心(朝阳)で開催されました。この展示会は、医療ツーリズム産業の国際交流を促進し、最新の医療技術やサービスを紹介する場として広く認知されています。



本展示会実績データ
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 参加団体数 303社

 総来場者数 15,253名

 開催講演数 80以上

 

本展示会では、次の主要テーマが取り上げられました:

  • 国際医療ツーリズム
    訪日医療のほか、国際的な医療サービスの普及促進と、医療渡航に必要な関連サポートサービスの拡充。
  • 予防医療と健康管理
    慢性疾患の予防や加齢に伴う健康リスクへの対応、人間ドックやライフスタイル改善を含む包括的な健康管理の推進。
  • 再生医療
    幹細胞治療を中心とした再生医療の臨床応用と、次世代医療技術の普及。
  • 生殖補助医療(不妊治療)
    不妊治療を中心とした生殖補助医療の技術革新。
  • 精密医療と最先端技術
    個別化医療(プレシジョン・メディシン)の実現に向けた診断技術や治療法の革新。

来場者の50%以上が、特に健康分野への関心が高い26歳から45歳の年齢層で構成されていました。*1 

*1 本展示会主催企業発表


■ ブース出展を通じて見えた中国市場の医療ニーズ

先にご紹介した通り、本展示会の総来場者数は15,253名にのぼりますが、多くの方が当ブースへお立ち寄りくださいました。

このブース来訪者のうち、約300人との交流を通じ、日本の医療サービスに対する以下のような関心が浮き彫りになりました:

  • 費用対効果
    ブース来訪者の約40%が「価格の透明性」を重視。高品質な医療サービスを予算内かつ適性価格で提供されることを重視する傾向にあることが再確認された。
  • プライバシー保護や特別対応
    所得50万元以上の層を中心に、約50%がプライバシー保護やVIP対応を含む特別対応への関心が高いことが再確認された。
  • 先進医療技術や包括的な検査プログラム
    最新技術を活用した診療、精密検査や人間ドックなどの包括的なプログラムに60%以上が強い興味を示した。

これらのやり取りを通じ、「透明性の高い情報提供」や「利用者の多様なニーズに応える柔軟な対応」が求められていることがわかりました。また、日本の医療サービス、特に人間ドックなどの包括的なプログラムが多くの来場者の関心を集めていました。

ブース対応で得られた知見は、訪日医療の提案や情報提供活動を今後より的確に進化させるための重要な示唆となっています。

■ 丁寧な15分の無料健康相談が好評

本展示会開催期間中、ブース内では順天堂大学の教授による無料健康相談が行われました。1人あたり15分の相談時間が確保され、様々な健康課題について対応しました。

相談内容は多岐にわたり、肺がんや心血管疾患に関する具体的なケースが寄せられるとともに、セカンドオピニオンを求める声も多く、じっくりと患者に向き合う姿勢が参加者から好評でした。例えば、70代後半の肺がん患者から「手術を受けるべきか」という相談が寄せられた際には、年齢や症状に応じた治療法が丁寧に説明されました。また、心血管の狭窄に関する相談では、セカンドオピニオンの重要性を強調し、適切な医療選択を提案する場面も見られました。

世界の人口の約 50% を占める 18 か国では、かかりつけ医との面談時間が 5 分以下であるという調査結果があります。また、診察時間と国民 1 人あたりの医療費、糖尿病などの外来診療に敏感な疾患による入院、かかりつけ医の密度、医師の効率性、医師の満足度との間には、有意な関連性があることもわかっています。*2

今後、国際診療を推進する上で丁寧なカウンセリングを提供することは、大きな差別化要因となると考えられます。

*2【出典】 Irving G, Neves AL, Dambha-Miller H, et al. International variations in primary care physician consultation time: a systematic review of 67 countries. BMJ Open. 2017;7:e017902.
詳細はこちらをご参照ください:https://bmjopen.bmj.com/content/7/10/e017902.long#F2

■ 今後の取り組みに向けて

今回の展示会で得られた知見を基に、中国市場における健康意識や医療ニーズへの理解をさらに深めていきます。日本の医療サービスの価値を適切に伝え、健康寿命延伸に寄与するための新たな選択肢を提案すべく、研究と実践を継続していきます。

また、2025年4月に開催予定の「第二十三届上海国旅游展会」(The 23rd Shanghai International Medical Tourism Exhibition)への出展も視野に入れ、これまでの成果をさらに発展させる機会として検討しています。



■ 国際診療推進研究講座について

日本の医療ツーリズムにおけるニーズ分析やビジネスモデル開発の推進に取り組むことを目的に、株式会社シーユーシーと順天堂大学が2024年4月に共同研究講座を設置しました。

世界的に医療ツーリズム市場が拡大するなかで、訪日外国人に対する日本の医療アクセスを向上させ、国内外の医療の進歩に貢献することを目指します。